インフルエンザを治すためには?

インフルエンザと一般の軽い風邪を引き起こすウイルスとの違い

どちらも気道粘膜細胞の中に入り込んで増殖します。ただ、インフルエンザの場合は、ウイルスの増殖力のスピードが何倍も速いために、健康な人でも症状が重症化しやすい、ということです。
 ウイルスの増殖がゆっくりであれば、ウイルスと免疫の戦いは、ウイルスの数が少ないうちに免疫が処理出来ますので、体を温め養生していれば、初期自然免疫のマクロファージや好中球やNK細胞等でウイルスを処理し、軽いくしゃみや、微熱程度で、五日前後で、治って行きます。

インフルエンザが怖い理由

健康な免疫力を持っている人でも、ウイルスの増殖力が早いため、初期自然免疫だけではウイルスの増殖を、抑えることが出来ないことです。そのためウイルスが増殖しては回りの細胞に感染し、また増殖を繰り返すと言う状態になり、ウイルスが初期免疫を乗り越えどんどん増えてきます。

そうなると、後期獲得免疫の出番となり、感染されウイルス製造工場と化した細胞を破壊するキラーT細胞や、ウイルスを吸着阻止する免疫抗体を大量に作るBリンパ球細胞が活性化され、分裂増殖し仲間を大量に増やしウイルスとの大戦争が起きます。この過程でひどい咳や高熱や関節痛・全身倦怠感などの辛い症状が起きます。

  健康な人の場合1週間〜2週間もあれば、充分なキラーT細胞や抗インフルエンザ抗体が作られウイルスに打ち勝ち、治癒することができます。

ウイルスに対して体はどのように戦っているのでしょうか?

ウイルスは空気中を浮遊し鼻や気管などの、粘膜細胞に侵入しようとします。しかし、気道粘膜には自浄作用があり、粘液を絶えず分泌し繊毛細胞が粘液をどんどん送り流し、粘液に付着したほこりや細菌やウイルスを最終的には胃に送り込み、胃の塩酸とペプシンで分解してしまいます。

粘液中にウイルスが侵入しても、粘液中にはウイルス吸着阻止物質がありウイルスは粘膜細胞の中にはそう簡単には侵入することはできません。ウイルスが粘膜細胞に侵入するだけでも障壁が何段にもありますので、そう簡単に風邪がうつる訳では有りません、一個や二個のウイルスでは自浄作用で処理され感染する事は出来ません。

感染が成立するためには、自浄作用が正常な場合、少なくとも数百から数
千のウイルスが気道粘膜に付着してくる必要が有ると考えられています。

気道粘膜の障壁を乗り越えてウイルスが細胞内に侵入した場合

  侵入された細胞は抗ウイルス作用をもつインターフェロン・α・β・γを作り細胞外に放出します。インターフェロンα・βを受け取った細胞は、ウイルスが細胞に入っても増殖出来ないようなタンパク質を作り出して、ウイルスを阻止し、ウイルスに対する抵抗力を持つように成ります。

インターフェロンγは免疫系の活性化を促します。皮膚や粘膜の下の組織には長い枝を方々に張り巡らしたような形をした樹状細胞や、さらにその下の組織にはマクロファージがいます。これらの細胞は、体に侵入してくるウイルスや細菌等を食作用で分解し、リンパ節と言う体の防衛軍の基地まで移動しリンパ球にどのような敵が侵入してきたかを知らせ、獲得免疫を作動させる為の、抗原提示作用と言う役割をしています。

  リンパ節にやってきたマクロファージや樹状細胞は飲み込んだウイルス等の断片をHLA分子と言う抗原提示タンパク質の上に乗っけて細胞膜表面に提示します。リンパ節には、あらゆる種類の細菌やウイルスに対応できる何万何百万種類のT細胞やB細胞がいます。

その中で、HLA分子に提示されたウイルスタンパク質の断片と、最も結合性の高い受容体を持つT細胞・B細胞が選び出され、T細胞はヘルパーT細胞として免疫の活性化を命令するサイトカインを放出して、選び出されたB細胞には分裂増殖を起こさせて、大量の抗ウイルス抗体を放出させます。

また、未分化のT細胞に働きかけウイルスに感染されて、ウイルス製造工場と化した細胞を破壊するキラーT細胞に分化させ増殖させます。

  このような体の免疫の活性化が一通り充分に起これば、ウイルスとの戦いは、勝負あったで、ウイルス感染に打ち勝つことが出来ます。

この期間はその人の免疫力の差にもよりますが、一週間から二週間程度です。T細胞受容体やB細胞が作る免疫抗体は、遺伝子再構成と言う手段により、細胞は数少ない遺伝子から理論的には、1000兆種類を超える多様性を作り出すシステムを持ち、あらゆる病原体に対応出来る様に出来ています。

健康な免疫を持っているのに、インフルエンザで死んでしまう人がいる理由

TBリンパ球のほうは1000兆の多様性で対応できますが、リンパ球を働かせる為の抗原提示タンパク質であるHLA分子のほうは、多様性が少なく、すべての病原体に対応出来る訳ではありません。一般のインフルエンザの場合、充分な免疫が造られない人が10%前後はいると言われています。

その中で、ほとんどHLAが機能できない人は、インフルエンザに対しては自然免疫だけでは対抗が難しいので死亡する人が出てしまいます。現在ワクチン注射による予防が行われていますが、10%前後の人はワクチン接種しても充分な抗体が出来ない可能性がありますので、自分がどのような体質かを、知っておく必要が有りす。

日本で使用のウイルスを分解、抗原タンパク質を接種する不活化ワクチン

体で作られる抗体は、IgG抗体と言うもので、血液中や体液中を循環しますが、肝心のウイルスの侵入場所である粘膜細胞表面には、到達しませんので、感染を防ぐことは出来ません。免疫の活性化も弱く、半年から一年ぐらいの有効性と言われています。

しかし、ウイルスが体内に放出された時には、速やかにG抗体により不活化されますので軽い症状か、殆ど症状を出さず回復させることは出来ます。

アメリカ等で始めている弱毒化させた生きたウイルスの生ワクチン接種

鼻に噴霧する方式の予防も行われています。この場合は、ウイルスが感染して、ある程度粘膜細胞で増殖するため、ウイルス製造工場と化した細胞を破壊するキラーT細胞や、IgG抗体やウイルスが粘膜から侵入した場合作られる分泌型抗体であるIgA抗体が作られ、不活化ワクチンより総合的な強い免疫が得
られます。

IgA抗体が作られますと、この抗体は、体中の粘膜から分泌されますので、ウイルスが粘液に付着した時点で不活化させる事が出来、感染を未然に強力に防ぐ事ができます。また、免疫記憶も充分に出来て、正確な研究はされていませんが、数年以上は持続すると考えられます。日本でも早く点鼻型ワクチンが使用できるようになって欲しいと思います。

ウイルスの増殖を抑制できる、タミフルという薬

人類もインフルエンザに対してようやく対抗する手段を持つことが出来るようになりました。しかし、このクスリはウイルスを分解できる訳ではなく増殖を抑制するだけなので感染に気がついたら出来るだけ早く飲む必要があります。感染から48時間以内に飲まなければ効果がないと言われています。

インフルエンザはウイルスの増殖が速いため48時間も経過すれば既にウイルスは充分に増えて回りの細胞に感染してしまいますので症状が重くなるのは避けられなくなってしまいます。

体に存在する、自然免疫・獲得免疫という体を外敵から守る強力な免疫力

感染発病した場合も現在は、タミフルなどのクスリもあります。しかし、最終的には体の免疫が十分働かなければ様ざまな感染症に打ち勝つことは出来ません。体に備わっているこの免疫力を100パーセント発揮できるか、僅かしか発揮出来ないかは、普段のあなたの健康状態によります。

そして、体の持っている、この自然治癒力を十分引き出すには、第一にバランスの良い食事、第二に睡眠、第三に適度な運動・適度なストレスの解消、が大切です。このような当たり前の養生法ですが、これこそが、体に生命30億年の進化で備わった、あらゆる自然治癒力のシステムを、100パーセント発揮させる一番のことなのです。この力が十分発揮されたならインフルエンザは勿論のこと、癌や、医療の力が及ばないような病気でも治すことが出来ます。
 


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